2026年IPOは年明けから7連敗、今後はどうなる?

公開日:
2026年5月2日

 2026年のIPOは年明けから7連敗(投資法人を除く)と最悪のスタートとなりました。年明けから4月まで連敗が続くのは、過去10年を振り返っても見たことがありません。
 年明け3連敗の時点で不穏な空気はあったのですが、ここまで連敗が伸びたのは中東情勢の緊張が大きな原因の一つです。2026年2月末以降、米国・イスラエルとイランの対立が強まり、株式市場全体に不安が広がりました。

 もともと直近のIPOに関するルール変更で初値が上がりにくい状況になっていたことも重なり連敗が続いたと見ています。

 過去にもリーマンショックやコロナショックなど大きな金融危機の時にはIPO市場も大打撃を受けていました。今回は金融ショックとは少し違いますが、過去の低迷時の状況やその後の動きは参考になりそうです。
 このコラムでは、2026年のIPO市場の現状を、リーマンショック時と比較しながら解説していきます。連敗が続くと気が滅入りますが、状況を見極め、できることをしていきましょう!

2026年のIPO結果

 まずは、年明け最初のIPOから振り返っていきましょう。投資法人を除き、7件連続で公募割れが続きました。

表は左右にスライドしてご確認ください
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益
2/13 TOブックス
(500A)
C 東証
スタンダード
3,910円 3,595円 -315円
(-8.1%)
2/24 イノバセル
(504A)
D 東証
グロース
1,350円 1,248円 -102円
(-7.6%)
2/27 ギークリー
(505A)
C 東証
スタンダード
1,900円 1,757円 -143円
(-7.5%)
3/25 ベーシック
(519A)
D 東証
グロース
870円 800円 -70円
(-8.0%)
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益
3/25 ジェイファーマ
(520A)
D 東証
グロース
880円 809円 -71円
(-8.1%)
3/27 セイワホールディングス
(523A)
C 東証
グロース
1,250円 1,220円 -30円
(-2.4%)
4/2 ビタブリッドジャパン
(542A)
C 東証
グロース
1,370円 1,301円 -69円
(-5.0%)
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益

 TOブックスイノバセルギークリーは、2月28日以前の上場なので、ここは中東情勢は関係ありません。
 TOブックスは年明け最初IPOということでご祝儀買いにも期待していたのですが、2025年10月に上場した同業のオーバーラップホールディングスが公募割れだったことからネガティブなイメージが先行したようです。
 続くイノバセルはまだ売上のないバイオベンチャーだったので、公募割れリスクが高いIPOでした。とはいえ、年明け2連敗となってしまったのはIPO市場が冷え込むきっかけになったと考えています。
 そしてギークリーは規模の大きさがネックだったようです。2連敗後の劣勢をひっくり返せる材料がありませんでした。様々な理由が重なり、年明けから3連敗となってしまいました。

 その後、2月28日にイランへの攻撃がはじまり中東情勢が緊迫しました。株式市場全体が不安定になり、IPO銘柄もその影響を受けています。平常時であれば上昇が期待できる銘柄も、軒並み公募割れになってしまいました。連敗が続くことで、IPO市場への資金流入が減るという負のスパイラルが発生していたようです。

 年明けから7連敗は過去に例を見ない事態なのですが、単純に連敗数だけみると今年よりも連敗した年があります。2008年、リーマンショックにより世界経済が大混乱となった年です。

リーマンショック時の連敗と比較

 リーマンショックが起こったのは2008年9月15日です。2007年に表面化したサブプライム住宅ローン問題からアメリカの大手投資銀行だった「リーマン・ブラザーズHD」が経営破綻し、世界的な大不況に繋がりました。比較のために、9月15日以降に上場日を迎えたIPOを一覧にします。

表は左右にスライドしてご確認ください
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益
9/18 FXプライム
(8711)
金融(FX) JASDAQ 1,100円 900円 -200円
(-18.2%)
9/19 データホライゾン
(3628)
医療情報
サービス
東証
マザーズ
1,650円 1,900円 +250円
(+15.2%)
10/7 メディサイエンスプラニング
(2182)
医薬品開発 大証
ヘラクレス
1,100円 1,210円 +110円
(+10.0%)
10/27 リニカル
(2183)
医薬品開発 東証
マザーズ
1,000円 610円 -390円
(-39.0%)
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益
10/28 クロス・マーケティング
(3629)
マーケティング 東証
マザーズ
590円 580円 -10円
(-1.7%)
10/30 電算システム
(3630)
情報サービス 東証
2部
850円 790円 -60円
(-7.1%)
11/5 内外トランスライン
(9384)
海運・物流 東証
2部
1,200円 1,116円 -84円
(-7.0%)
11/6 アサカ理研
(5724)
非鉄金属 JASDAQ 800円 750円 -50円
(-6.3%)
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益
11/7 オーウイル
(3143)
商社 JASDAQ 450円 418円 -32円
(-7.1%)
11/11 ヒューリック
(3265)
不動産 東証
1部
470円 425円 -45円
(-9.6%)
12/4 シイエム・シイ
(2185)
マニュアル制作 JASDAQ 1,900円 1,540円 -360円
(-19.0%)
12/8 エス・ディー・エス バイオテック
(4952)
農薬製造 JASDAQ 750円 693円 -57円
(-7.6%)
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益
12/9 らでぃっしゅぼーや
(3146)
食品宅配 JASDAQ 600円 600円 0円
(0.0%)
12/10 ホシザキ電機
(6465)
機械製造 東証
1部
750円 705円 -45円
(-6.0%)
12/12 ソーバル
(2186)
ソフト開発 JASDAQ 600円 640円 +40円
(+6.7%)
12/16 ショーエイコーポレーション
(9385)
包装資材製造 東証
マザーズ
225円 236円 +11円
(+4.89%)
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益
12/17 リックコーポレーション
(3147)
ペットショップ運営 大証
ヘラクレス
330円 330円 0円
(0%)
12/17 グリー
(3632)
ゲーム開発 大証
ヘラクレス
3,300円 5,000円 +1,700円
(+51.52%)
12/19 paperboy&co.
(3633)
インターネット
サービス
大証
ヘラクレス
3,300円 5,000円 +1,700円
(+51.52%)
上場日 企業名 業種 市場 公募価格 初値 損益

 9月18日から12月末までで6勝11敗2分、勝率31.6%と非常に苦しい状況でした。リニカルからエス・ディー・エス バイオテックまで9連敗という長い連敗もあり、IPO市場全体が冷え込んでいたのがよく分かります。

 公募割れを回避した3銘柄(データホライゾン、メディサイエンスプランイング、らでぃっしゅぼーや)は、いずれも吸収金額が10億円以下の超小型IPOでした。規模が小さいIPOは市場に出回る株式の量が少なく、需要があれば一気に高騰する場合があります。また、食品や医療関係といった、比較的景気に左右されにくい業種だったのも一因かもしれません。

2008年と2026年の日経平均株価を比較

 続いて、日経平均株価で振り返ってみます。過去の日経平均株価を振り返るときは、20年分のデータが見られるマネックス証券が便利です。

 2008年9月当時、日経平均は前年から問題となっていたサブプライムローン問題の影響で下がり気味でした。それでも、リーマンショック直前の2008年9月12日の終値は12,214.76円でした。

■リーマンショック後の日経平均株価■

2008年ごろの日経平均チャート

<引用:マネックス証券より>

 しかし、9月15日にリーマン・ブラザーズHDが破綻すると状況が一変し、株式市場は急落します。最安値をつけた10月28日には、日経平均は6,994.90円まで下落しました。わずか1か月半で4割以上下がるという、歴史的な大暴落でした。2009年3月ごろからやや持ち直したものの、2011年3月の東日本大震災時には再び大幅下落する場面もあり、低迷が続きました。ようやく低迷期を抜け出したのは2012年末のことです。第2次安倍内閣が発足し、アベノミクスへの期待もあり、やっと上昇傾向になりました。

 それでは、2026年の日経平均を見てみましょう。イランへの攻撃開始前の2月27日は、終値が58,850.27円でした。そして一番値を下げた3月31日は50,558.91円でした。8,000円以上のマイナスと聞くとかなりの衝撃を感じますが、下落率で見れば約14%です。リーマンショック時の4割超の下落と比較すると、暴落というほどではありません。もちろん、戦争終結の見通しが立たない以上楽観視はできませんが、日本の株式市場はある程度の踏ん張りを見せています。

■2026年の日経平均株価推移■

2026年の日経平均チャート

<引用:SBI証券より>

 2008年ほどの大暴落が起こっていないのに、なぜ今年は連敗が続いていたのでしょうか。問題は、株価が上がったり下がったりと乱高下している点にありそうです。IPO株の初値は、上場当日の市場のムードに大きく左右されます。そのため、先が読みにくい状況では、どうしても投資家は慎重になってしまいます。

 さらに、ここ数年の東証のルール変更も大きな要因でしょう。IPO投資は、上場前の株式を割安に買い、上場日に売ることで利益を得る投資手法です。しかし、極端な高騰を避け、適正な価格で上場させるため、近年は成行注文の禁止や、日程・売出株数・公募価格の決定ルール変更上場維持基準の厳格化など、さまざまな制度変更が行われています。その結果IPO市場は、「上場ゴール」と呼ばれた小型のIPOが減り、大型のものが増えています。環境が変化しつつある中で、市場の乱高下が重なり、期待よりもリスクが大きくなってしまったと考えられます。

リーマンショック後、IPO市場が立ち直るまで

 では、リーマンショックによる大連敗のあと、IPO市場はどうなったのでしょうか?1年ごとの成績で振り返ってみます。

表は左右にスライドしてご確認ください
成績 勝率 件数
2007年 8929敗3分 74% 121件
2008年 2026敗3分 41% 49件
2009年 134敗2分 68% 19件
2010年 109敗3分 45% 22件
2011年 1914敗3分 53% 36件
2012年 379敗0分 80% 46件
2013年 521敗1分 96% 54件
2014年 5915敗3分 77% 77件

 リーマンショック翌年のIPOは、勝率こそ68%とまずまずでしたが、上場件数がわずか19件と、信じられないほど少なくなってしまいました。その後、少しずつ件数は増えていきましたが、2011年に東日本大震災が起こったことで、回復にはさらに時間がかかってしまいます。

 やっと元の調子を取り戻してきたのは、2012年のことです。件数が2008年と同じくらいまで戻り、勝率も80%に跳ね上がりました。さらに、翌2013年には54件が上場し、勝率も96%と好成績を記録しました。ちょうど日経平均の話でも触れた、第2次安倍内閣がスタートして日本経済が上向きになったタイミングに重なります。日本経済全体が盛り上がると、それに合わせるようにIPO市場も元気になることがよくわかります。

 今回のケースも同様になるかは分かりませんが、IPO市場が不調の時は、企業価値よりも安く株が買える可能性があります。この企業に投資したい!と思えるのであれば、公募割れした後に買うのも一つの手です。もちろん、初値より下がることもありますし、不況の煽りを受けて会社が無くなってしまうこともあります。事業内容をよく見て、自信がある銘柄に投資しましょう!

2026年待望の初勝利は「システムエグゼ」!

 先が見えない状況ではありましたが、4月6日のシステムエグゼで、ついに2026年の初勝利が出ました!次に上場したヒトトヒトホールディングスは公募割れでしたが、その後5連勝で4月を締めくくることができました!

表は左右にスライドしてご確認ください
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益
4/6 システムエグゼ
(548A)
C 東証
スタンダード
950円 1,061円 +111円
(+11.7%)
4/7 ヒトトヒトホールディングス
(549A)
D 東証
スタンダード
430円 422円 -8円
(-1.9%)
4/9 ソフトテックス
(550A)
D 東証
スタンダード
1,940円 3,200円 +1,260円
(+64.9%)
4/21 バトンズ
(554A)
C 東証
グロース
660円 1,674円 +1,014円
(+153.6%)
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益
4/22 SQUEEZE
(558A)
C 東証
グロース
3,110円 3,250円 +140円
(+4.5%)
4/23 犬猫生活
(556A)
C 東証
グロース
2,990円 3,500円 +510円
(+17.1%)
4/24 梅乃宿酒造
(559A)
C 東証
スタンダード
600円 900円 +300円
(+50.0%)
上場日 企業名 総合
評価
市場 公募価格 初値 損益

 初勝利を飾ったシステムエグゼは、吸収金額約12億円の小型IPOでした。公募価格も1,000円以下と低めで、想定価格で算出したPERでみても10.30倍と割安感がありました。不安定な市場の中でも、手が出しやすい銘柄だったと言えます。

 2勝目のソフトテックスは、吸収金額がわずか5.5億円の超小型IPOでした。弱気な仮条件の影響で公募価格はやや低めに決まり、さらに上場日前日に米国とイランの一時停戦が発表されたことも追い風となりました。1単元を初値売りした場合の利益は+12.6万円で、現時点での2026年最高記録です。

 また、4月後半のIPOには力強さがありました。バトンズは上場初日に買いが優勢のため初値がつかず、二日目でやっと初値がつきました。犬猫生活梅乃宿酒造は、上場後も株価が上昇し、ストップ高まで買われました。こうした動きから、IPO市場に投資家からの関心や資金が戻ってきていることがうかがえます

 最終的に4月IPOは6勝2敗で終わりました。
 日経平均株価の上昇に合わせたようにIPO市場にも活気が戻ってきました。思ったより早く復調の兆しが見えてひと安心です。

日経平均株価が初の6万円突破!

 IPO市場復調の背景には、日経平均株価が好調だったことも関係しています。


<引用:SBI証券より>

 リーマンショック時と大きく違うのは、株式市場全体はそこまで大崩れしていないところです。日経平均株価のチャートを見ると、イラン情勢による市況悪化後は下がっていますが、3/31を底としてその後は右肩上がりです。この勢いがIPO市場にも資金を呼び、連敗脱出からの連勝に繋がったと考えています。

今後のIPOはどうなる?

 4月の結果を見て、ひと安心したものの、まだまだ先行きは不透明です。停戦のニュースで市場の雰囲気は少し上向きになりましたが、中東情勢の不安はまだ解消されていません。

 このまま情勢が落ち着き、市場が回復してくれることが一番ですが、しばらくは世界情勢をチェックし、ひとつひとつの銘柄をしっかり見ていきたいところです。今回勝利したIPOを参考に、小型で割安感の強い銘柄を中心に申込んでいくのも1つの手段です。先行きが不透明な状況では、規模が大きいIPOは需要と供給のバランスが崩れやすく、リスクが高いと判断されやすいです。

 また、当選した場合でも、購入直前まで情報収集をすることで、ある程度はリスクを軽減できます。「当選したのに買わないのはもったいない」と感じるかもしれませんが、状況に応じて冷静に判断していきましょう。ただし、証券会社の中には、当選したのに購入を見送るとペナルティが課せられてしまう場合があります。

 こちらのコラムで各証券会社のペナルティの有無をまとめています。ぜひ参考にしてくださいね!

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