トップページ > コラム > キオクシアが10月6日に上場へ!(※上場中止が発表されました)
最終更新日:2020/9/28
(2020年9月28日追記)
東京証券取引所よりキオクシアの上場の承認取り消しが発表されました。(上場中止)
理由は「同社からの申出に基づき、当該承認を取り消すことといたしました。」とのことです。
(9月28日追記)
キオクシアが上場中止するとの報道がありました。東京証券取引所からの正式発表はまだありません。
理由は、"大口取引先である中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する米政府の取引規制で先行きへの不透明感が高まっているため
"(引用:日本経済新聞)とのことです。
(9月18日追記)
仮条件が想定価格を大きく下回ったので、公募割れの危険性が出てきました。初値予想を変更しています。
以前から上場の噂があったキオクシア(東芝メモリ)ですが、本日上場が承認されました!持ち株会社であるキオクシアホールディングスが東証へ上場します。事前の報道通り上場日は10月6日です。今回は、キオクシアの成り立ちから、IPOとしての分析、スケジュールのおさらいなど、気になるポイントを細かく解説します!
まずは「キオクシア」の歴史から振り返りましょう。
1987年 | 東芝の社内事業としてメモリ開発が始動 |
---|---|
2017年 | 東芝メモリ株式会社設立 |
2019年10月1日 | キオクシアホールディングス株式会社に社名変更 |
2020年10月6日 | 東証一部に上場(予定) |
キオクシアは1987年に東芝(6502)の社内事業としてスタートしています。世界初のNADN型フラッシュメモリの発明、製品化を実現するなど、メモリ分野ではトップレベルの技術を持っていました。
2017年に、東芝の粉飾決算による債務超過解消のため、半導体メモリ事業が売却されました。この時に、「東芝メモリ」として独立した会社が誕生しています。主な売却先は、日米韓企業連合が設立した買収目的会社Pangeaです。
その後、2019年に単独株式移転により持株会社化し、キオクシアホールディングスに社名変更しています。
キオクシアホールディングスの主要株主と持ち株比率は以下の通りです。
主要株主 | 持ち株比率 |
---|---|
BCPE Pangea Cayman,L.P. | 49.9% |
株式会社東芝 | 40.2% |
HOYA株式会社 | 9.9% |
東芝は、キオクシアの約4割の株式を保有しており、キオクシアは東芝の関連会社(持分法適用会社)です。多くの議決権を持っているので、会社の経営に口出し出来る状態ですね。 今回のキオクシアの上場も、一種の親子上場と言えます。
東芝は、今回のIPOで「約2割の株式を売却し、株主還元に充てる」と事前に発表しており、その発表を受けて、株価が一時4%以上上昇しました。キオクシアの上場後も3割以上は保有し続けるようなので、キオクシアの業績が東芝にも影響します。
では、続いてキオクシアの初値を予想してみます!
2020年8月27日時点では、総合評価「C:公募価格比+10万円程度」と予想します。公開株数は多いものの、知名度と直近のIPOの好調さに支えられ、公募割れの可能性は低いのではないか、と見ています。
(9月17日追記)※初値予想変更しました
仮条件が発表されました。想定価格3,960円に対して、仮条件は2,800円~3,500円と大幅に下回りました。想定価格が割高で、需要が集まらないと判断された可能性が高いです。
過去の事例を見ると、仮条件が想定価格を大きく下回ったケースでは、公募割れの危険性がぐっと上がります。今後、公募価格が仮条件の上限で決まらない場合、さらに公募割れの危険性が高くなります。
そのため、キオクシアの初値予想を「D:公募価格比-10%~+10%程度」へ変更します。
IPOの初値評価基準として以下の4点に注目しています。
企業の業績・将来性 | ○ |
---|---|
知名度・話題性 | ◎ |
公開株数 | △ |
大株主のロックアップ | ○ |
それぞれ「(良)◎>○>△>×(悪)」と4段階で評価しています。くわしく見てきましょう。
【評価:○】
キオクシアはNAND型フラッシュメモリのシェアが世界2位です。3位のウエスタンデジタルと提携し、首位のサムスン電子を追っています。
直近では、新型コロナウイルスの影響でスマホ向けのメモリ需要が減少していますが、年末に出るソニーのプレイステーション5はSSD標準搭載なので、SSDの需要が伸びそうです!スマホ向けも、新型コロナウイルスが落ち着けば、また徐々に戻ると思われます。総合的に見て、業績は良さそうです!
【評価:◎】
上場前から知名度が高い企業は人気を集めやすいので初値にも期待できます。話題性も問題ありません。
【評価:△】
公開株数が多いほど、初値は上がりにくい傾向があります。初値は売買のバランスで決まるので、公開株数が多いと上場日に売り注文が増える可能性が高くなります。
新規発行株数が「21,562,500株」、国内売出が「9,108,500株」、オーバーアロットメントによる国内売出が「2,760,400株」、合計「33,431,400株」が公開株数です。既存株主の売出しは、大半が海外売出しとなったので、公開株数はかなり抑えられました。このくらいの規模であれば、需給のバランスが大きく崩れることは無さそうです。
【評価:○】
IPOでは、既存株主が売りに出せないように「ロックアップ期間」を設けることがあります。上場してすぐに大量の売りを出されると、IPOで買った株主が損をしてしまうので、一定期間は売れないように合意しているのです。
今回は、主要株主と新株予約権者にしっかりと期間でロックアップがかかっており、株価による解除条件もありません。既存株主が初日から大量の売り注文を出す心配は無さそうです。
知名度は抜群なのですが、公開株数の多さが足を引っ張っています。しかし事業内容は今後も期待できそうです。注目度が高い案件なので、誠意買いで株価の下支えもそれなりに期待できると考えると、公募割れの可能性は低そうです。
(9月17日追記)仮条件が想定価格を大きく下回ったため、公募割れの危険性が出てきました。公募価格が仮条件の上限で決まらない場合、さらに公募割れの危険性が高まります。
過去の規模が大きいIPOはどうだったのでしょうか。2015年以降で、公開株数が3,000万株以上のIPO企業を一覧にしてみました。
上場日 | 企業名 | 総合 評価 |
上場市場 | 公募株数 | 売出株数 | 公募価格 | 初値 | 初値 上昇率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018年 12月19日 |
ソフトバンク (9434) |
東証 1部 |
0株 | 176,406万株 | 1,500円 | 1,463円 | -37円 (-2.5%) |
|
2018年 6月19日 |
メルカリ (4385) |
東証 マザーズ |
1,816万株 | 2,540万株 | 3,000円 | 5,000円 | +2,000円 (+66.7%) |
|
2017年 12月13日 |
SGホールディングス (9143) |
東証 1部 |
0株 | 7,878万株 | 1,620円 | 1,900円 | +280円 (+17.3%) |
|
2016年 10月25日 |
九州旅客鉄道 〔JR九州〕 (9142) |
東証 1部 |
0株 | 16,000万株 | 2,600円 | 3,100円 | +500円 (+19.2%) |
|
2016年 7月15日 |
LINE (3938) |
東証 1部 |
3,500万株 | 525万株 | 3,300円 | 4,900円 | +1,600円 (+48.5%) |
|
2016年 6月29日 |
コメダ ホールディングス (3543) |
東証 1部 |
0株 | 3,070万株 | 1,960円 | 1,867円 | -93円 (-4.7%) |
|
2015年 11月4日 |
日本郵政 (6178) |
東証 1部 |
0株 | 49,500万株 | 1,400円 | 1,631円 | +231円 (+16.6%) |
|
2015年 11月4日 |
ゆうちょ銀行 (7182) |
東証 1部 |
0株 | 41,244万株 | 1,450円 | 1,680円 | +230円 (+15.9%) |
|
2015年 11月4日 |
かんぽ生命 (7181) |
東証 1部 |
0株 | 6,600万株 | 2,200円 | 2,929円 | +729円 (+33.1%) |
|
上場日 | 企業名 | 総合 評価 |
上場市場 | 公募株数 | 売出株数 | 公募価格 | 初値 | 初値 上昇率 |
一般的には、規模が大きくなるほど初値は重くなり、公募割れの危険が高まります。ソフトバンクのように、売出オンリーで15億株というような超大規模になると、かなり初値が上がりにくくなります。
メルカリ(4385)やLINE(3938)が今回のキオクシアと規模が似ていますが、初値はどちらもまずまずの上昇でした。有名企業は規模が大きくても初値が公募割れしにくい傾向があります。
ここで、今後の上場までのスケジュールを確認してみましょう。ネット証券で抽選を受ける場合を説明します。
抽選申込期間 | 9月18日(金)~9月25日(金) |
---|---|
当選発表日 | 9月28日(月) |
購入申込期間 | 9月29日(火)~10月2日(金) |
上場日 | 10月6日(火) |
①抽選申込期間
IPOに参加するには、抽選申込期間に取り扱い証券会社から申し込む必要があります。需要申告(ブックビルディング)期間とも呼ばれ、仮条件から希望価格と希望株数を申請します。
ここで申し込みをしないと、IPOに参加できません!
②当選発表
抽選申込期間に申し込みがあった中から、各証券会社で割り当てられた株数を割り当てます。1人1票の証券会社もあれば、複数割当がある証券会社もあります。
多くの証券会社は抽選を受けるために事前に証券口座に入金が必要ですが、松井証券や岡三オンライン証券は事前入金無しで抽選が受けられます!
③購入申込期間
当選した場合、この期間内に購入意思を示す必要があります。ここで購入手続きを忘れると、当選していても権利が消えてしまうので注意!
当選したものの申込時と状況が変わった時など、購入を見送りたいときは「辞退」を選びましょう。ただし、SMBC日興証券などは辞退するとペナルティがあります。各証券会社の注意事項をよく読んで対応しましょう。
→ IPO当選後の辞退でペナルティがある証券会社
④上場日
初値売りをする場合は、上場日の朝に忘れず「成行」で売り注文を出しましょう!
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