「ホロライブ」のカバー株式会社が上場!「にじさんじ」ANYCOLORとの違いを比較

最終更新日:
2023年3月27日

(2023年3月27日追記)
 カバーの初値が「1,750円」で決定しました。公募価格比+133.3%、1単元の初値売り利益は10万円です。

 YouTubeで活躍するVTuberが数多く所属する「ホロライブプロダクション」、その運営会社であるカバー株式会社の東証グロースへの上場が承認されました。承認前から注目度が高く、久しぶりの目玉IPOとなりそうです。

参考)カバー(5253)のIPO上場情報

COVER

 昨年、同じくVTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR[エニーカラー]の上場で大きく盛り上がった事を考えると、カバーの上場にも期待してしまいますね。現時点で公開されている情報を元に、IPO情報の解説とANYCOLORとの比較をしていきます。

VTuberとは?ホロライブプロダクションとは?

 まず、「そもそもVTuberって何?」という疑問から解決していきます。VTuberについて、ホロライブプロダクションについて、他との違いをかんたんに説明していきます。

VTuberとは

 Virtual YouTuber(バーチャルユーチューバー)の略で、YouTube上でアバターを使って動画などを配信しています。

 アバターは2Dや3Dモデルで作成されており、多くがアニメ風のキャラクターです。モーションキャプチャーなどにより、実際の人の仕草やまばたき、口の動きと同期しています。
 従来のアニメーション文化との親和性が高いのが特徴で、今まで一方通行だった『二次元』のキャラクターと異なり、双方向コミュニケーションがとれることから人気に火が付きました。『2.5次元』とも言われています。

ホロライブプロダクションとは

 「ホロライブプロダクション」はVTuber事務所の名称で、女性VTuberグループ「ホロライブ」、男性VTuberグループ「ホロスターズ」が所属しています。『兎田ぺこら』、『宝鐘マリン』、『白銀ノエル』などがファン数の多いVTuberです。

ANYCOLORとの違い

 ANYCOLORは「にじさんじ」を運営しています。ホロライブプロダクションがアイドル寄りなのと比べると、にじさんじはバラエティーに富んだ活動をしているVTuberが多い印象です。にじさんじには『壱百満天原サロメ』、『社築』、『月ノ美兎』などが所属しています。

UUUMとの違い

 他にYouTuber関連の上場企業といえばUUUMがあります。HIKAKIN、はじめしゃちょーなど有名YouTuberが所属している事務所です。

 どちらもYouTubeを活用している企業ですが、大きく異なる点があります。
 UUUMは売上の8割以上がYouTubeの広告収入と企業からの広告収入ですが、カバーやANYCOLORはキャラクター性が強く、グッズやデジタルコンテンツの販売が売上の中で大きな割合を占めます。
 VTuberはアバターがアニメーション風であることから、マンガ、アニメ、ゲーム、音楽などのメディア展開がしやすく、コマース分野が売上の大きな柱となっています。コマース分野は原価率をある程度コントロールできるところが強みです。

カバーとANYCOLORのIPO条件を比較

 では、続いて2社のIPOの条件を比較してみます。

ANYCOLOR   カバー
大和証券

三菱UFJ
モルガン・スタンレー
証券
主幹事証券 みずほ証券

三菱UFJ
モルガン・スタンレー
証券
1,490円 想定価格
710円
1,338,600株 公開株数 14,291,500株
50,000株 公募株式数 1,500,000株
1,515,500株
(※海外販売株数
を含む)
売出株式数 12,791,500株
234,800株 オーバー
アロットメント
による売出
1,864,100株
29,993,435株 上場時
発行済み株式数
61,124,200株
446.9億円 想定時価総額 434.0億円
19.9億円 想定吸収金額 101.5億円
180日間 ロックアップ 180日間
なし ロックアップ解除 1.5倍
1,490円 ~ 1,530円 仮条件 710円 ~ 750円
1,530円 公募価格 750円
4,810円
 (+214.4%)
初値 1,750円
(+133.3%)

※ANYCOLORは訂正有価証券届出書(2022年5月31日)参照

 まず目に付くのが、想定価格、公開株数とそこから計算される想定吸収金額の違いでしょう。続いて、ロックアップに解除条件が付いているところも気になります。それぞれ詳しく見ていきます。

想定価格と想定時価総額

 まず想定価格について確認します。
 ANYCOLORは1,490円、カバーは710円です。1単元購入に必要な金額が下がるため、株価が安くなると買いが入りやすくなります。

 想定価格と上場時発行済み株式数から想定時価総額が算出できます。ANYCOLORは446.9億円(2022年5月時点)、カバーは434.0億円です。カバーの方が上場時発行済み株式数が多いので、どちらも同じような時価総額になりました。会社の規模としてはほぼ同じと言えます。

公開株数と想定吸収金額

 公開株数はANYCOLORが約133万株、カバーが約1,429万株です。カバーの方が10倍多いですね。
 想定価格から算出した想定吸収金額はANYCOLORが19.9億円、カバーが101.5億円です。想定価格が半分なので、5倍多くなります。

 IPOにおいて公開株数が多いのはマイナス要素です。
 公募の段階で欲しい人に行きわたってしまうと、上場後に買いたい人が減ります。またそれだけ新しい株主が増えるため、上場日の売りも増えやすくなります。そのため初値形成には不利になるのです。

既存大株主とロックアップ

 ロックアップとは、主幹事証券と既存株主との間で交わされる「一定期間保有株式の売却をしない」という合意です。上場直後から大量の売りが出ないようにすることが目的です。
 創業者は上場後も保有し続けることが多いですが、ベンチャーキャピタル(VC)などは投資資金の回収をするために現金化が必須です。つまりVCが保有している株式は上場後に売り出される可能性が非常に高くなります。
 上場直後に既存株主から大量の売りが出てしまうと、初値形成に大きな影響を与えます。それを防ぐために一定期間は売らないように合意しているのです。

 しかしロックアップがかかっていれば安心、というわけではありません。
 ロックアップには解除条件が付けられていることがあります。カバーの場合、いくつかの株主で解除条件が「1.5倍以上」となっており、公募価格の1.5倍になるとロックアップ期間内でも売却できるようになってしまいます。そのため、解除条件が付いている場合は、解除となる価格が一つの壁になります。

仮条件について

 仮条件は需要申告をする際の値段幅です。「この値段なら買いたい」という価格で抽選申込をします。公募価格以上で申し込んだ人の中から抽選が行われるのですが、ほぼ上限で決まるので上限以外で申し込みすると抽選対象にならない場合があります。確実に抽選対象となるためには仮条件上限で申し込みましょう。

 仮条件は、IPOの人気度を測るバロメーターとも言えます。
 たとえば、想定価格を大きく上回る仮条件が出た場合、「株価が高くても買いたい人」が多いということなので、上場後の株価にも期待できます。逆に想定価格を下回るような事があれば、「株価が下がらないといらない」ということになるので、公募割れのリスクが高くなります。

想定価格 < 仮条件下限 強気 人気◎、高騰の期待度アップ!
想定価格 = 仮条件下限 通常  
仮条件下限 < 想定価格 弱気 人気△、公募割れのリスクも…?
仮条件上限 < 想定価格 超弱気 人気×、公募割れのリスク大

 さて、仮条件はANYCOLORが想定価格1,490円に対して「1,490円 ~ 1,530円」、0%~+2.7%の振れ幅です。
 一方でカバーは想定価格710円に対して「710円 ~ 750円」、0%~+5.6%の振れ幅です。どちらも想定価格が仮条件の下限なので、順当な仮条件ですね。ややカバーの方が上限の振れ幅が大きいので、少しだけ条件が良いとも言えます。

公募価格とは

 公開株の売出価格です。当選した人が購入する株価で、公開価格とも言われます。

 ほとんどが仮条件の上限で決まりますが、不人気IPOでは上限以外で決まることもあります。特に下限で決まった場合は要注意です。「それだけ買いたい人が少なかった」という意味になるので、上場後の買いに期待できません。

【参考】公募価格が仮条件の下限で決まったときの初値の一覧表

 カバーは3月15日に公募価格が決定しましたが、仮条件の上限である「750円」です。不人気という事は無さそうなので、ひと安心ですね!

比較まとめ

 カバーとANYCOLORのIPO条件を比較してみました。
 まとめると、「想定価格が低い」のはプラス要素です。逆に「規模が大きく」、「ロックアップに解除条件が付いている」点がマイナス要素になっています。ここだけで判断すると、カバーのIPO条件はややマイナス要素が強いですね。

 IPOでは、業績や今後の成長性も初値に影響します。続いては業績面で2社を比較してみましょう。

カバーとANYCOLORの業績を比較

 では続いて業績について比べてみましょう。ANYCOLOとカバーの業績を比較します。黄色背景になっているところが上場直前の決算期です。さらに、直近の決算情報も載せています。

表は左右にスライドしてご確認ください
■ANYCOLORの業績推移
  2018年
4月期
2019年
4月期
2020年
4月期
2021年
4月期
2022年
4月期
2023年
4月期
(第2四半期)
売上高
(百万円)
17 867 3,479 7,636 14,164 (11,973)
経常利益
(百万円)
△4 47 42 1,451 4,149 (4,311)
当期純利益
(百万円)
△2 30 32 937 2,793 -
純資産額
(百万円)
60 90 2,704 3,526 6,318 -
表は左右にスライドしてご確認ください
■カバーの業績推移
  2018年
3月期
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
(第2四半期)
売上高
(百万円)
4 137 1,479 5,725 13,664 (12,802)
経常利益
(百万円)
△20 △62 243 1,706 1,854 (1,727)
当期純利益
(百万円)
△20 △63 176 1,221 1,244 -
純資産額
(百万円)
13 151 427 2,213 3,457 -

 売上高の推移はどちらも似たような成長率を見せています。ANYCOLORの方がやや早く軌道に乗っていますが、直近の業績ではほぼ同じくらいの売上高となっています。

 一方で、経常利益、純利益についてはANYCOLORの伸びが著しいですね。カバーも順調に伸びてはいますが、それを大きく上回る勢いです。
 ANYCOLORの決算資料を見ると、2022年4月期ではコマースやプロモーションの領域が大きく成長しています。中でもコマース分野は2021年4月期に33.5億円と大幅に伸びていますが、さらに2022年4月期では66.3億円へと倍増しています。
 カバーの方は詳細な資料がないので、経常利益に差がついている原因ははっきりとはわかりません。しかし、カバーは従業員数が倍に増えているようなので、人件費の増加が原因のひとつとして考えられます。


<引用:ANYCOLOR決算説明資料より>

 今後の成長期待度が最も高いのが英語圏での売上です。ANYCOLORは2021年10月から「NIJISANJI EN」として主に英語で活動するVTuberをデビューさせています。この英語圏への進出が成功しており、2022年4月期には8億円を超える売上高まで成長しています。
 カバーも「ホロライブEnglish」として英語圏で活動するVTuberを排出していますが、詳細な資料が無く、どのくらい成長しているかは不明です。

 カバーに関しては、まだ決算発表していないので決算説明資料もありません。憶測にはなりますが、ANYCOLORの業績推移を見る限りカバーも成長余地は大きいと言えそうです。これがどこまで織り込まれるかで、IPOの初値上昇率が大きく変わるでしょう。

ANYCOLORが東証プライムに!?

 3月15日に「東証プライム市場への市場区分変更の申請を行った」と発表しました。同時に業績予想も上方修正されており、大きなサプライズとなりました。
 まだ承認されるかは不明ですが、同業他社が好調なのは好材料ですね。カバーの上場に向けて良いニュースとなりそうです。

幹事証券の特徴を確認!

 カバーの幹事証券をリストアップして、特徴を解説しています。基本的に表の上にある証券会社ほど割当株数が多くなります。しかしネット配分が低いところは抽選本数が減るので注意しましょう。

証券会社   ネット抽選 備考
みずほ証券 主幹事 10% 完全平等抽選  
三菱UFJ
モルガン・スタンレー
証券
共同
主幹事
10% 完全平等抽選  
おすすめ
SBI証券
幹事 30% 完全抽選
15% ポイント抽選
5% 優遇抽選
 
大和証券 幹事 10% 完全平等抽選  
野村證券 幹事 10% 完全平等抽選 前受け金不要
おすすめ
マネックス
証券
幹事 100% 完全平等抽選  
おすすめ
楽天証券
幹事 100% 完全抽選
※申込上限あり
公募価格決定後に抽選
おすすめ
auカブコム
証券
委託幹事 ほぼ100% 平等抽選
※抽選外の配分あり
公募価格決定後に抽選
おすすめ
大和コネクト証券
委託幹事 70% 完全平等抽選
30% 優遇抽選
 

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上場後の株価はどうなる?

 ここまでカバーのIPOについて解説してきましたが、ANYCOLORと比較するとIPOの条件がかなり厳しいということが分かりました。
 しかしANYCOLORの前例があり話題性は十分なので、不利な条件をどこまでひっくりかえせるかがカギになりそうです。

 これだけ話題になっていると、初値が付いた後の値動きも気になりますね。参考までにANYCOLORの上場後の値動きを見てみましょう。


<ANYCOLOR株価チャート:松井証券より>

 ANYCOLORは上場後、最高値「13,790円」を付けています。上場直後に発表された2022年4月期決算や、その後の2023年4月期第1四半期の発表で大きなインパクトがあり、株価が跳ね上がりました。
 その後、2022年12月5日にロックアップ期間が終了すると一気に株価が下落しています。このことからも既存株主、特にVCの売りが脅威なのがわかります。

 カバーも同じような推移をするとは限りませんが、同じようなビジネスモデルで会社の規模も近いため参考にはなりそうです。

まとめ

 いろいろな角度からIPO情報を比較・分析してみました。正直なところANYCOLORほどの高騰は難しそうです。
 しかし、公開株数が多いという事は当選しやすいという事でもあります。想定価格も他に比べて低めなので、参加しやすいIPOです。話題性◎のIPOなのでいずれにしても盛り上がるでしょう。一種のイベントとも言えます。

 今までIPO株を申し込んだことが無い人も、これを機にカバーの新規株主を目指してみませんか?

 (3月27日追記)
 カバーの初値は1,750円(公募価格比+1,000円 +133.3%)で決まりました。この規模にしてはかなり上昇したと思います。直前のANYCOLORの決算発表に後押しされた感がありますね。
 単純にIPOの条件だけ見ると苦戦しそうでしたが、話題性と将来への期待でこれだけ買われたという事でしょう。当選された方々、おめでとうございます!

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